母ちゃんは笑え!

四十路の私、長女(悪魔の4歳)、次女(1歳・ダウン症&心疾患もち)、ときどき夫による息切れな日々

「ここでは治療できない」~ダウン症がわかるまで②~

待ちに待った心エコーの日。

それまで一度も付き添ったことのない夫が「オレも行く」と言い出した。


夫とは心疾患の話はしていたけれど、ダウン症かもしれないとは伝えていなかった。
「心臓は手術すれば治る」と楽観的なことを言う夫に、治らないダウン症の話をするのが辛くて、先延ばしにしていた。


予約時間どおりに受付を済ませけれど、急患が入ったのか、やたらと待たされる。

志願して付いてきたくせに「こんなに待たせるなんておかしい」と愚痴る夫にげんなりした頃、ようやく順番が回ってきた。


エコー室へ入ると、前回の3Dエコーを担当した若い女医さんと心臓のエキスパートが待っていた。

エキスパートは女医さんに何か説明しながら30分以上かけて次女の心臓を見ていく。
その間、私に対しては何一つ話してくれない。

おそらく誤解を生むことが無いように、敢えて無言なのだろう。
とはいえ30分以上、ほぼ無言でお腹をぬりぬりされるのはなかなかの苦行だった。


やっと心エコーが終わり、いよいよ問診。

次女の心臓は思ったよりも深刻だった。

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4つに分かれているはずの心臓の真ん中に穴が空いていて、2つあるはずの弁が1つしかない。

病名は房室中隔欠損症。

担当医から「うちでは産むことはできても、赤ちゃんの治療ができない。赤ちゃんの治療ができる大きな病院に移ったほうがいい」と言われた。


…え?ここで産めないの?

このとき妊娠34週。

もしもの時に備えて荷物も詰め終わっていたし、長女を産んだのと同じ病院ということもあって、心の準備も万端だった。なのに転院?


転院先の病院は、車で1時間ほど。
何かあったらどうやって病院まで行く?
長女はどうする?

頭が全く付いていけていないのに、慌ただしく書類の準備と転院手続きがすすむ。

いろいろな話をしているのに、ダウン症のダの字も出てこない。


ネットで病名を調べれば、次女がダウン症である可能性はかなり高い気がする。

心疾患にはいろいろな種類があって、心疾患=ダウン症ではないけれど、房室中隔欠損症はダウン症の合併症の代表的なものだ。


あぁこの医者は告知もせずに、次の病院に追いやるのだな、と思った。

医療界のルールは知らないけれど、ダウン症の可能性があるのなら、早く話してほしい。
できれば夫にも、医師から説明してほしいと思っていたのに。

かといって、こちらから確かめる気力もなく、ぐったりしながら病院を出た。


帰宅後、病名を聞いても相変わらず「大きな病院のほうが安心」と楽観的なことばかり話す夫に、次女はダウン症かもしれないと打ち明けた。