母ちゃんは笑え!

四十路の私、長女(悪魔の4歳)、次女(1歳・ダウン症&心疾患もち)、ときどき夫による息切れな日々

「ママの声で目を開けた」~ダウン症がわかるまで⑤~

妊娠38週。いよいよ帝王切開のため入院。

コロナの影響で長女とは面会禁止。夫との面会も最低限に制限されていた。

夜に一人で寝るのは長女が産まれてから初めてのことだった。
翌日は私も命がけ。食事が許される最後の時間にハーゲンダッツを食べて気合いを入れた。


翌朝10時から手術。
準備を済ませて手術室へ行く。

好きな曲を流すこともできたけど、出産で何があるかわからないことを思うと、選ぶ気になれず、病院のチョイスでオルゴールの音が流れていた。

手術台に寝て、麻酔医さんと話しながら下半身に麻酔をかけていく。すぐに感覚が無くなり、開腹。
ここまで来るとただその時を待つしかない。


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帝王切開の場合、赤ちゃんが出てくるまで、本当にあっという間で、ドラマのような感動はなく、淡々と次女が取り出される。


。。。泣かない。

聞こえたのはゴボゴボとうがいをするような音だけ。

あれ?大丈夫?
不安になった頃ゴボゴボの音に混じって
「あっ!あっ!」と小さい泣き声が聞こえた。

産まれてすぐに大音量で泣いた長女に比べると、あまりに弱々しい泣き声。


看護師さんがなぜか泣き出しそうな顔で「産まれましたよ」と見せてくれる。

産まれたばかりの次女の顔はむくんで顔色も悪く、目はほとんど開いていなかった。


何かが違う。
見た瞬間にあぁダウン症だと感じた。

看護師さんの泣きそうな顔も、そういうことなんだろうと思った。


お世辞にも可愛いとは言えず「ちっちゃいねぇ~」となんとか言葉をしぼり出して次女に声をかける。

その声に反応するように、次女は片目だけを懸命に開けて私を見た。
その目は黒目しか見えず、宇宙人みたいだなと思った。

「ママの声で目を開けたね。わかるんやね」
やっぱり泣き出しそうな声で看護師さんが言った。

対面は一瞬だけで、次女はすぐにNICUへと連れ去られていった。


泣き声はおかしいし、顔は宇宙人。
正直、全く可愛いと思えなかった。
そんな自分にショックを受けていた。


手術台の上でお腹を閉じられながら、これから次女のことを育てられるだろうかと不安が押し寄せていた。